SKYACTIV-X2017年08月09日 16時43分25秒

瀬戸大橋
マツダから待ちに待った次世代エンジン、SKYACTIV-Xが発表された。混合気をピストンの圧縮によって自己着火させる圧縮着火技術を世界で初めて実用化し、2019年から市販車に搭載していくという。単なるロードマップとしての技術紹介にとどまらず、具体的な数値データを公開したところに新技術の完成度の高さとに対するマツダの自信を感じる。

その特徴は優れた環境性能と動力性能の両立。通常の火花点火では失火してしまうレベルまで燃料を希薄化した状態で低回転域では圧縮着火を行い、高回転域においてはシームレスに火花点火へと切り替えるんだそう。混合気を希薄化(空燃比36.8:1)するので当然ながらエンジンの効率(燃費)は向上。スーパーリーン燃焼によってエンジン単体の燃費率は現行の世界最高レベルの効率を誇るSKYACVTIV-Gと比べ、最大で20 - 30%程度も改善されるという。熟成された技術と考えられていたガソリンエンジンなのに、10年前の同一排気量のガソリンエンジン比で35 - 45%の改善というから凄い。

効率だけじゃなくて、出力も向上するという。なんとSKYACTIV-Gに比べて全域で10%以上、最大30%におよぶ大幅なトルク向上を実現できるんだそう。圧縮着火はスロットルバルブの抵抗が少ない為に吸気がシリンダーに入るまでの遅れが少なく、アクセルペダルを踏み込んだ際の初期レスポンスが良いとのこと。これってスポーツカーのパワーユニットにピッタリ。SKYACTIV-Xが触れこみどおり「走りの良さ」と「燃費の良さ」という相反する特徴を両立できたら、まさに究極のガソリンエンジンということになると思う。

期待せずにいられないのがロータリーエンジンへの圧縮着火技術の適用。もしREで圧縮着火技術が実現できれば、REの燃費を大幅に向上させることが出来るはず。いびつな燃焼室形状の為に理想的な燃焼をさせる事が難しかったREも、圧縮燃焼ならばREのウィークポイントだった低速トルクと燃費の向上が図れるハズ。一方で高付加域では従来の点火燃焼という事なので、燃費や排気ガスのクリーンさは疑問が残る。

ともかくREが自動車のパワーユニットとして生き残るとしたら今のところ圧縮着火技術に頼るしかない訳で、SKYACTIV-Rが圧縮着火技術をベースとしたREである可能性は高いと思う。今年の東京モーターショーはマツダから目が離せないね (^^)