Backyard Builder by HRC Eng. 「とあるエンジニアの日常」

うぉー、ビックリ！NR750の中古車ってあるんだね。NR750は俺が大学生の頃に発売されたスーパースポーツモデル。　つか、ナンバー付きのレーサー。1992年に500台限定で市販され、当時の販売価格は確か500万円。今ならレーサー直系マシンが500万円というと割安に感じるけど、当時二輪車が500万円というのは有り得ないほど高額で唯一無二の存在だった。

NRは独創的なメカニズムを採用したバイクで、採算を無視した贅沢な作りが最大の魅力だったように思う。エンジンは1シリンダーあたり4つの吸気バルブと4つの排気バルブを持ち、8つのバルブを納めるために楕円形のピストンを採用したユニークなエンジンを採用していた。4シリンダーなのになんと32バルブ、こんな面白いエンジンを市販化したホンダって凄いと思う。

当時はオーバルピストンって凄いなって思ったけど、今だと燃焼室の形状がいびつな事によるデメリットの方が気になる。スパークプラグを2つ備えているようだけど、燃焼の制御が難しそう。バルブを増やすのは吸排気効率を上げたいからだと思うけど、バルブを増やす為にピストンを楕円にしちゃうのって本末転倒な気がする。ピストンも重くなるし、動弁系が増えるので抵抗も大きくなる。楕円ピストンがNR以降採用されないのは、メリットよりもデメリットの方が大きかったって事なんだろうね。