火垂るの墓2009年08月14日 23時58分55秒

夜の帳
久しぶりに「火垂るの墓」を観た。この映画は何度見ても見るのが辛い、胸が苦しくなる。息子が主人公の節子と歳が近いということもあってか、初めのあたりから胸が締め付けられるような気持ちになった。戦争を知らない俺がこんなだから、戦争を経験した世代だとどんな気持ちになるんだろう。

特筆すべきはリアリティ溢れる描写、これは戦争の実体験を基にしてないと絶対に書けないレベル。並みの反戦映画なら将来への希望を描いて終わるところを、戦争とそれに翻弄される人間をただただ描写し続ける。感動なんていう甘い仕掛けは一切無く、悲しすぎるほどのエンディング。

戦争、死、生きるということ。戦争の現実を描き、見ている人に考えさせる。お仕着せの価値観への共感を求めるでもなく、見ている人を感動させるのが目的でもない。戦争がいいとか悪いとかではなく、戦争という悲劇に巻き込まれた人々と情景をただ忠実に描写した物語。

娯楽とは正反対の、最後まで見るのが苦しい映画。アメリカ人にはウケないだろうし、この映画が何を伝えたいのか理解できないと思ふ。ハリウッドでは絶対に作れない映画、それが「火垂るの墓」。

野坂昭如ってヤクザなタレントのイメージが強いけど、ちゃんとした作家だったんだね。ちょっと見直したカモ(^^;