スピーチ2013年01月11日 21時39分21秒

故郷の情景
今まで幾度と無く偉い人のスピーチを聞いてきた。ずっと海外プラントに携わってきたので、色々な人の話す英語のスピーチを聞いてきた。そんな中で一番心に残っているのは実は日本人のスピーチ。個人的にも親しいTプロジェクトマネージャが行ったスピーチなんだけど、正直それ以外に心に残っているスピーチはない。特にネイティブスピーカのスピーチは記憶に残っているものがない。

Tプロマネは日本人にしては英語が堪能だけど、当然ながらネイティブスピーカには程遠い。そのTプロマネが2年ほど前にプロジェクトの完了パーティーで行ったスピーチは感動的で、日本人だけでなくアメリカ人もシンガポール人もインド人も、皆が絶賛した。お世辞抜きでホントに心に響くスピーチで、一緒に仕事をやってきたこともあってか涙をこらえている自分が居た。

Tプロマネは普段から冗談やアドリブを交えながらスピーチをやるなど、スピーチの才能に恵まれている。そのTプロマネが事前に喋る内容を準備し、それをゆっくりと一言一言言葉を確かめるように話した。本気になればこれほど心に響くスピーチが出来るのかと、氏の才能に驚嘆。それと同時に英語が上手くないことは、上手く使えばネイティブにはない武器になると思った。

そんな俺にプロジェクトマネージャとして挨拶する機会が巡ってきた。大勢の人前で話すことは苦手だし、あまり経験も無い。そんな俺が参考にしたのはもちろんTプロマネのスピーチ。原稿は正月休みに息子が寝た後に布団の中で考えた。そして原稿を頭に叩き込み、原稿を見なくとも喋れるように一人で何度もシミュレーションした。

まず関係者への感謝の言葉、そしてプロジェクトメンバー(特に客先の海外から赴任してきた駐在員)に向けた安全と健康に対する気遣いの言葉、それと日本の生活を楽しみ、日本を好きになって欲しいという思いを伝えることにした。それを完璧ではない、日本人の英語で伝えることにした。

プロマネとしての初めてのスピーチの機会は、プロジェクトのキックオフミーティングの後のディナーパーティのオープニングスピーチとなった。ゆっくりと間を取りながら自分のペースで、言いたいことが伝わるように大き目の声で話した。スピーチの時間はたぶん3分ぐらい。緊張でひざが少し震えたりもしたけど、思った以上にうまく喋れた。自己採点は70点くらい。

スピーチが終わりホッとしていたところに、次々と色々な人が声を掛けにやってきてくれた。素晴らしいスピーチだったと、偉い人から新人まで色々な人から声を掛けてもらった。10年振りに一緒に仕事をするある後輩は興奮気味に「このプロジェクトに関われて嬉しい」と言ってくれた。「日本人の英語」作戦に初々しさ?が加わり、予想以上に皆の心に響いたらしい。自分が感動したあのTプロマネのスピーチの後に少し似ていて、本当に嬉しかった。

大変だったけど、とりあえずプロマネとして掴みはOKだったかな。やっぱいいね、新しいことに挑戦するのって。だけど俺はスピーチだけは得意にはなれそうに無いな、一生苦手だと思う(^^;