大人の流儀2012年10月03日 22時19分08秒

シラサギ
生まれて初めて自らの意思でエッセイを読んだよーな気がする。まさか俺がエッセイを買って読む日が来るなんてね、何が起こるかわからないもんだ。著者は伊集院静、伊集院光ではない。著者には失礼だけど、若くして白血病でこの世を去った夏目雅子の旦那さんと言った方が分かる人も少なくないカモ。

特に面白いと感じられる内容ではなかったんだけど、不思議と嫌味に感じる訳でもなく心の中にすっと溶け込むように読めた。著者がこれまでの人生で感じたことがありのままに綴られていて、共感できる部分もあるし、できない部分もある。人にはいろいろな考え方やそれぞれの事情があることを理解した上で、大人たるものこうあるべしといった理想を持って生きるのがカッコいい大人なんだと思う。

夏目雅子さんの事はよく知ってて、亡くなった時の事もリアルタイムで覚えている。体育の授業中に怪我をして、治療に訪れた病院のTVに映るワイドショーでその訃報を目にした。これまで著者の口から語られる事の無かった夏目雅子さんとの日々の暮らしとその最期について、この本の巻末に思いが綴られている。一番心に響いたのはこの巻末の話かもしれないね、確かに伊集院静の生き方はカッコいい。

...もしかして「続・大人の流儀」も買っちゃうのか、自分 (^^;

はやぶさ-不死身の探査機と宇宙研の物語2012年09月28日 23時39分26秒

つばめ
泣きそうになったんだよね、電車の中で。この本はハヤブサが帰還する以前、今から6年ほど前に発刊された本。惑星探査衛星ハヤブサのことよりも、東京大学の研究室を前身とする宇宙研のロケット開発と宇宙研究の歴史のことが詳細に綴られている。恥ずかしながらこの本を読むまで、日本に文部省系の宇宙研と科学技術庁系のNASDAが存在していたことすら知らなかった俺。

固体燃料によるロケット開発への挑戦。日本の宇宙開発はユニークで独創的だった。ペンシルと呼ばれたわずか全長23cmのロケットの試射から、固体燃料ロケットによる人工衛星打ち上げ成功までの研究者たちのロマンあふれる物語に感動した。カッコよすぎるんだよね、イトカワ博士。

難問や困難を知恵と工夫で乗り越え、素人にまで不可能だと笑われた固形燃料ロケットでの人工衛星の打ち上げ成功。日本初の人工衛星の名前が「おおすみ」という控えめな名前であるのも、当時の研究者の苦労と良心が垣間見られていい。日本人にオリジナリティがないというのは明らかに嘘。昨今話題となっている隣国の盗人文化とは違っていることが日本人として誇らしく思えた。

もしも多感な時期にこの本を読んでいたら、間違いなく宇宙工学を学ぼうと思ったに違いない。息子が中学生になったらこの本を読ませないと(^^)

太平洋のレアアース泥が日本を救う2012年09月16日 22時57分57秒

夏の終わり
この本は面白かった。知ってるようで知らなかったレアアースの定義に始まり、その希少性と重要性、生産が中国に偏っている理由とその問題点、海底鉱床発見の経緯と意義、資源開発の可能性と経済性評価、そして著者の将来の日本と子供たちのために何ができるかという熱い思いが綴られている。

日本の未来に希望を感じられる内容なのがいい。南鳥島周辺のEEZに存在する膨大な量のレアアース泥、何とも夢があってワクワクする話。著者が書いているようにいい話ばかりかどうかは分らないけど、領海・排他的経済水域(EEZ)の面積を考慮すると日本が世界第6位の海洋大国であるのは事実。海洋資源の開発が日本に明るい未来をもたらす可能性は十分あると思う。

著者は東京大学の准教授。ネイチャー・ジオサイエンス誌でこの成果を発表した研究者本人。当たり前のことかもしれないけど、レアアース泥を発見した本人の言葉には説得力がある。自らの研究の自慢話もふんだんにちりばめられているが、不思議といやみに感じない。

人の自慢話ほど面白くないものはないけれど、面白く読めてしまうのは大きな成果を出しているからなのかな?(^^;